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会社でやりたいことをやるための技術

この本を手に取っていただきどうもありがとうございます。この章を執筆をした著者のFORTE(フォルテ)です。マツリカでは主にバックエンド担当のITエンジニアをやっていますが、それはあくまで最低限やるべき仕事と捉えています。というのも私がマツリカにいる理由は「チームや組織をより良くすること」だと思っているからです。マツリカに転職する際にこの私のやりたいこととマツリカの課題感がマッチしたので、マツリカでは自分のやりたいことをやれています。そのため、いまとても楽しく働けている自覚があります。

この経験から、会社でやりたいことをやる技術について書いてみました。内容としては実際に筆者の失敗談や成功体験からの考え方や、ノウハウをご紹介するものとなっています。もちろん事例として筆者の体験談もご紹介します。

なお、筆者はITエンジニアであるため、内容はITエンジニアの経験や考えに寄ったものとなります。ただし、プログラミングやITシステムが登場するわけではなく、誰でも流用可能な物にしたつもりです。その点はご承知おきの上、お読みくださると幸いです。

"desire" Photo by Alexis Fauvet on Unsplash

なぜ、やりたいことががあると良いのか?

まず、やりたいことががあるとなぜ良いのか?という点から考えてみます。私は以下の点において良いと感じています。

  • 転職活動にメリットが多い
  • モチベーションに繋がる

それぞれ見ていきましょう。

転職活動にメリットが多い

転職活動に対するメリットとしては、業務や会社を探す際に自分のやりたい事が分かりやすい物差しとなります。数多の会社から自分に合う会社を探すのは大変です。また人間は決めることに多大な労力がかかると言われています。やりたいことという軸があるだけで、この労力を軽減することができます。

さらに面接や転職エージェントとの会話の際に自分の希望を伝えやすくなります。ただ転職したいだけではなく、やりたいことと何故それをやりたいのか?という具体的な話があるとその想いが伝わりやすくなります。さらにそのやりたいことがその会社や職種では実現できなくても、別の会社や職種を提案してもらえる可能性が出てきます。実際にそうしてキャリアチェンジして楽しく働いてる人が居ますので、実例からも非常に有効な考え方であると言えます。

モチベーションに繋がる

次にモチベーションに繋がるというのは、やりたいこと、やりたくないことのどちらがモチベーションに繋がるかを考えれば一目瞭然です。できることならやりたいことだけして生きていきたいですし、やりたくないことはやりたくありません。このシンプルさも非常に良い点だと思っています。

残念ながら会社という組織ではやりたくない、気が進まないことをやる必要があります。この時にやりたいことがあると、トレードオフで考えられたり、自分はこの作業はやりたくないんだと気づくきっかけになります。全部やりたくないになってしまうと組織としてもできることがなくなってしまいます。ひとつでも検討できる情報があれば取れる行動が変わってきます。

その会社が魅力的に見える

モチベーションに繋がるメリットとしてその会社が魅力的に見える効果もあります。同じような条件で働きたい会社が複数あるとしたら、多くの人がモチベーション高く楽しそうに働いている会社が良いと感じるでしょう。

宣伝として効果があるかどうかは別ですが、実際にアットホームだったり明るい職場という文言で自社を紹介するのはそういった意味もあると思います。このような文言よりも実際に働いている社員の姿こそが宣伝になると言えます。事例として私がリファラルした友人は私が楽しそうにしているのをきっかけに弊社に興味を持ってくれました。言葉よりもモチベーション高く楽しくしている態度に効果があったと言える事例です。

これらから、会社でやりたいことがあると様々なメリットがあります。

やりたいことを探す

ではどうしたらやりたいことを見つけられるのでしょうか?

考える

まずは考えてみることです。自分が会社でやりたいこと、成し遂げたいことを考えてみます。このときできることや直近のイメージを抱かない方がより本質的に近い傾向があるように感じます。できることベースで考えると浅くなりがちだったり、自分が知っている限界以上のことが出てきにくいです。というのも人生で自分が直接見聞きできる範囲は狭いものです。それならば今できるできないは置いといて広い範囲で考えた方がよりやりたいことが見つかる可能性は高まります。

直近より遠い未来のやりたいことを考える

またあまりに直近のやりたいことをイメージするとすぐ達成できてしまったり、表面的になってしまいます。すぐ達成できることはモチベーションを感じづらかったり、維持するのが難しいです。簡単な問題はすぐ解けますが、ずっと簡単なのは飽きてしまいます。表面的になると目の前の辛さや大変さを理由にしてしまい、もし環境が変わったことでその辛さが無くなるとやりたいことがなくなってしまいモチベーションが保てなくなってしまいます。

そのため、なるべく難しく遠い未来に向けたやりたいことの方を考えてみるのをオススメします。

考えてみたが特にない人は?

「やりたいことが特に無いんだよね〜」という方もいらっしゃいます。もしあなたがそうであればやりたいことを探してみるのはどうでしょうか。ここまで書いてきたメリットの中でひとつで良いと思ったなら、ぜひいろんな人や会社、チームを見てみることをお勧めします。知ることは非常に大事です。

何かを判断する、良いなと思う、やりたくないなと思うには、知ることが大事です。

筆者が知ったことで変わったことはプロジェクトマネジメントという仕事

筆者の場合ではITエンジニアのプロジェクトマネジメントという仕事が知ったことで変わったことでした。

過去の筆者においてはプロジェクトマネジメントは上手くやる方法はないもので、ただひたすらずっと辛いと思っていた仕事になっていました。しかし、たったひとつの改善案や改善できた現場を知ることで自分にもできるかもしれないという希望に変わり大好きな仕事に変わるということがありました。これはひとつでも改善できそうな案や改善した現場を知ったことで考え方が正反対に変わったのです。

このことからもひとつ何かを知ることで考えや状況の捉え方が変わることがあります。もしひとつの事例だけで…と思うならいろんな方に話を聞いたりしてみると良いでしょう。有名な人ならインタビューなどで答えている場合がありますし、ブログなどをやっている方なら自分で書かれている場合もあります。もちろんこれらの行動も、ズバリ知ることそのものです。

知ることをやりたいことにしてみる

知ることが良いな〜と思ったら、ぜひ知ることを意識してやってみましょう。それがあなたのやりたいことになります。そしてそれは会社の中でもできます。休憩やタバコ時の雑談、飲み会やランチで、移動中などで上司や先輩、同期、後輩などにやりたいことを聞いてみましょう。

このとき別に会社でやりたいことじゃなくても話を聞いてみましょう。例えば趣味をやりたいから会社では特に何もないという人がいます。自分もそうしたいな〜と思ったらそうするのも手です。その場合は帰ってからやりたいことをやるために会社では効率よく過ごすようにする、のがやりたいこととなります。直接的じゃなくても知ることによって自分に生かせることはあります。

様々な場所で知れること

先入観は置いておいて話に耳を傾けてみましょう。例えば会社で知れることなんてないと思っていませんか?

会社の中でも別部署という選択肢はありますし、会社の中という枠を少し超えるとグループ会社という選択肢が出てきます。これは特に上司や先輩に話を聞くと得られやすい情報です。日本の大企業であっても別部署やグループ会社では、ベンチャーやスタートアップのように新規事業に取り組んでいる組織があります。

もし自分がそういった組織に興味があるなら、転職よりローリスクで経験できる可能性があります。また社内であれば内情を知りやすい事もメリットです。直接の知り合いがいなくても、上司や先輩、後輩などに同期や飲み会などのイベントの有無を聞いてみると話が聞けます。もしそういった組織が近くになければ転職を考えれば良いです。そのときもこんなはずじゃなかった…となる可能性を下げるために、情報収集して知るための行動をすることをお勧めします。

情報量は外の円ほど多い

実際にやってみる(失敗してみる)

知ることは大事ですが、万能ではありません。完璧に知ることは不可能ですし、知った瞬間にそれは古い情報となります。また他人から得た情報はどうしても他人のフィルターを通すため、自分には合わない可能性が十分にあります。よって、やってみたいなーと思ったり、試さないと分からん!となったら実際にやってみる必要があります。

このときやってみたら、失敗は何か?違和感は何か?うまく行きすぎていないか?と考えます。多くの場合において新しいことは失敗します。失敗しないまでも、何かしら課題が出てくる可能性が非常に高いです。そこでガッカリしたり、モチベーションが無くならないようにした方が楽しくできます。

うまく行った場合も冷静に客観視する

また稀に上手くいくことがありますが、これは客観的にみた方が良いでしょう。自分の行動だけでなく、他人のサポートやその場の環境や状況などが作用してやりたいことができている可能性があります。これを自分のみの成果と捉えると、再現性がなくなったり、長続きしなくなります。誰だって他人の成果を我が物顔に語る人は好きになれません。結果として会社などの組織ではやりたいことができなくなる可能性が高まります。

短期的な成果を捉えてモチベーションを上げるのも大事ですが、長期的に続く方がより楽しめます。余裕がない時は長期的なことを考える余裕なんてないので、上手くいっている時こそ先のことを考えるのが理にかなっていると言えます。

試しにやってみる(失敗してみる)とアドバイスがもらいやすくなる

さらにやってみる効果としては他人からアドバイスをもらいやすい効果があり、やってないとそれ以上の話にならないという現実があります。実際に何かやっているとそれに対して自分が意識していなかった新しい観点でアドバイスがもらえる可能性があります。

ですが、実際にやってないとまずやってみたら?という話にしかなりません。やってないものに対してはやるとしたら〜というアドバイスしかできません。

やってみるとアドバイスがもらいやすい事例

例えばITエンジニア界隈では「エンジニアになりたい!」という人に、エンジニアになるために何かやっていますか?と聞くと「今は何もやってないです!」と返ってくることはよくあります。これではやる気があるように見えず口先だけだと思われてしまいがちです。

しかし、「今はこれをやってます!」と言えるだけでそれについてアドバイスしたり、なぜそれをやっているのか?という観点でもアドバイスができます。このようにとりあえずやってみるはアドバイスをもらう点からも非常に効果的です。

やりたいことをやって失敗した事例

最後に筆者がやりたいことをやってみて失敗した事例を紹介します。 前職ではAndroidのアプリ開発をやっていました。しかし、面接時にマネジメントにも興味があるという話もしており、それを受けて会社側からもマネジメントもやってほしいという話になりました。そこで入社した後から以下のようなことを始めました。

  • インセプションデッキの作成
  • 理想と現実の洗い出しによるむきなおり
  • 分報
  • モブプロ

しかし定着したのは分報だけでした。インセプションデッキやむきなおりは一度だけ話してそれっきりで、ハッキリと忙しいから今はやりたくないと言われてしまいました。

モブプロは何度かやりましたが、チームメンバーの1人がコードを他人に見せるのを嫌がったためこれもやらなくなってしまいました。これは自分がやりたい事をやったのですが、チームを巻き込んだ結果、チームが望んでいないことに気付くことができませんでした。そして結果的にやりたい事ができなくなってしまいました。

自分のやりたいこと≠チームのやりたいこと

これは自分のやりたい事が他人(チーム)もやりたい事だと思い込んでしまった事、途中でそうじゃないんだと気付けなかったことなどが原因として考えられます。面接時にマネジメントをやってほしいと言われましたが、これは今思えば非常に抽象的で具体性に欠けています。具体的に何をやるのか、どれくらい時間(コスト)がかかるのか、一番にやってほしいのは何なのか、そういったすり合わせができていませんでした。

思えば期待値コントロールはマネジメントでも重要な点であり、工程管理的にも最初の工程で発生した問題は致命的になる事が多いのでしっかり確認をすべきでした。いまふりかえっても反省が多い出来事です。

やってからこそ得られたアドバイス

この話を知り合いのアジャイルコーチの方に相談させてもらったところ、このチームの反応をどう捉えれば良いかアドバイスをいただく事ができました。恐らくやっていなかったらやってみたら良いんじゃない?以上の話にならなかったと思いますし、やったからこそのアドバイスを真剣に受け止める事ができました。

前職ではやりたい事をやって失敗したという結果になりましたが、それで多くの経験を得る事ができました。当たり前なのですが結果が失敗だったとしてもやってみる事が大事だと実感することができました。そのためやりたい事はやってみて、失敗して次に繋げる事が重要だと感じています。

新天地でやりたいことをやるために言語化する

さていまの部署や会社ではやりたいことができないと分かったり、やってみてダメだとなったら部署異動や転職によって新天地でやりたいことをやる方法があります。部署異動も転職もそれぞれ注意点はいろいろありますが、本章ではやりたいことに絞って解説していきます。

まずは自分のやりたい事の言語化から

まずは自分のやりたい事を言語化しましょう。このとき職務経歴書やエントリーシートなどの文章への記載や上司や転職エージェントに話したから不要と思われる方もいるかもしれませんが、必ず先方に直接口頭で伝えるようにしましょう。伝える場としては異動時の面談や、転職時のカジュアル面談や面接が挙げられます。

なぜ直接伝える必要があるかというと、先方にとってはそれがあなたを最も良く知れる機会であり、お互いの背景共有によりお互いに新たな道が開かれる可能性がある、フィードバックを得るチャンスとなるからです。

あなたを最も良く知れる機会

まずあなたを最も良く知れる機会という点については、書類や人伝に聞いた話よりも直接話した方が圧倒的に情報量が多いです。話す内容はもちろんのこと、話し方、身振り手振り、傾聴、受け答えなどをみて取れます。これらは文章や人伝ではわかりません。

さらにこれらは自分のやりたい事を支援してくれる事柄となります。その組織や担当者にとってあなたのやりたい事に興味が無くても、相対した時に印象がよければ支援してくれる可能性は高まりますし、内容がきちんと伝われば組織にも前向きに説明してもらえます。

逆に印象が良くなかったり内容が正しく伝わっていなければ逆効果になってしまいます。中身より外見や感情かと思われるかもしれませんが、感情ある人間の行動である以上はむしろ自然な行動であると言えます。感情を考慮しない行動を期待する方が不自然でしょう。そういった面でもあなたを良く知ってもらうのはメリットがあります。

背景共有の大事さ

次にお互いの背景共有によりお互いに新たな道が開かれる可能性があるというのは、部署にしても会社にしても自分たちのことはよく分かっていないことがあるのでそこにやりたいことがピタリとハマる可能性があります。好きこそものの上手なれではありませんが、自分がやりたいことは他人より情報収集や経験を積んでいる可能性が高いため、相手の知らないメリットを提案できる可能性があります。

提案まで行かなくても相手の知らない価値や新たな課題を気づかせることができるでしょう。そこで相手の組織から「この人とぜひ一緒にやりたい」と思ってもらえれば、そこで自分のやりたいことができる可能性がグッと高まります。

背景を共有すると自分にもメリットがある

さらに新たな可能性は、あなたにももたらされる可能性があります。もともとやりたいと思っていたことが、相手の組織の課題などと結びついた結果、別観点や視点で実現できたり、やりたいことの根幹が共通している別のことができるかもしれません。

筆者の知り合いでもプログラマー志望で面接を受けていましたが、結果的にWebディレクターとして採用された実例があります。その人は転職活動を通してコードを書くことにこだわりは無いと気づき、その根幹にあるプロダクトに貢献するという自分のやりたいことはWebディレクターという役割でも十分に発揮できるものでした。そして相手の組織も面接で会話した結果、十二分にWebディレクターとして活躍できると分かったため晴れて採用となったのです。このことからも自分のやりたいことを直接話すこと、さらにそこからお互いの背景を共有することはお互いが想定していなかった良い結果となる可能性があるので非常に重要です。

重要なポイントのひとつ、出る杭の扱い

背景共有で重要な点として、出る杭の扱いを確認してみましょう。つまり組織内でなにか新しいことをやる人がいるかどうか、実際にやっているか、やってみた結果どうだったかを聞いてみるのは非常に重要な点です。特にあなたがやりたいことがその組織にとって新しいことだった場合は十二分に確認しておきましょう。事前にそういった活動が組織内でどう評価されているのか、応援されているのか、反対されるているのかを確認します。そのうえで事例がなかったり、反対されているようであればその組織に参加するのは慎重にしたほうが良いでしょう。

いざ新しい組織でやりたいことを始めた結果、白い目で見られ反対されたり邪魔されたりするのではお互いに損になってしまいます。可能なら組織内でそういった活動をしている人にあって話を聞いてみるとなお良いですね。

フィードバック

最後のフィードバックを得るチャンスとは、面談や面接で自分のやりたいことを伝えた際にそれについてのフィードバックを得ることができるということです。自分のやりたいことを自分の中にしまっているだけでは、他人からどう捉えられるかはわかりません。

またどんなにそれが素晴らしいことでも自分の意図通りに伝わらなければ価値は半減してしまいますし、誤解されてしまうこともあるでしょう。そこで自分のやりたいことを伝えた上でそれに対するフィードバックを貰うことが重要です。これは言語化した上で、かつ会話をしなければ得難いものです。

有意義なフィードバックのもらい方の一例

フィードバックの対象としては内容はもちろんのこと、伝え方、話し方などの観点でも確認してみましよう。

例えば「内容は素晴らしいと思うが、それに見合う伝え方ができていない」とか「そもそもよく分からなかった」とか、「この部分は〇〇と言ったほうが良い」といったアドバイスが貰える可能性があります。さらに「弊社では間に合っているが他社でほしい所もあるかも」といったようにそこからさらに繋がっていくことも考えられます。一度の言語化して慣れればアウトプットするのもハードルが下がりますし、その一回で多くの可能性が手に入るとなれば非常にメリットが大きいと言えるでしょう。

フィードバックをもらいやすい相手

もし面談や面接の場でいきなりやるのが難しいと感じたら、ぜひ上司や先輩、同期、会社外の知り合いなどに依頼して話を聞いてもらいましょう。Twitterなどでは、そういった1on1や壁打ちに付き合ってくれる人を募集している人もいます。それ目的で参加するのは好ましくないですが、こういったアウトプットの素振り(リハーサル)や相談ができるようなコミュニティに参加しておくのもおすすめです。

自分のやりたいことを普段からやっていてさらにそれをアウトプットしていると、自然と同じことをやっているコミュニティやアウトプットをしているコミュニティに参加しやすくなります。そういった場所でぜひ素振りを行い、フィードバックをもらうのも非常に大事なポイントです。

言語化した事例

筆者が言語した事例としては尊敬するITエンジニアや知り合いのITエンジニアに自分のやりたいことを言語化して聞いてもらったり、カンファレンスなどでお会いしたエンジニアに現状をお伝えしてフィードバックを得ていました。その中で今やれることはやっている、時間をかければやりたいことをやれる可能性はありそうという内容のアドバイスをもらいましたが、前職では他にやりたいこともないし、別の環境に移ってやりたいことができるのであれば別の環境に移りたいと思いました。

またこのときの環境としては職場に大きな不満があるわけではなく、仕事は楽なので会社外で学べる時間も多い環境でした。しかし、同じ仕事で過ごす8時間でも学べることが多い8時間にしたいと思いました。そういった経緯から転職を決意しました。

転職活動での事例

転職活動中では言語化を意識して、転職してやりたいことは何なのか、なぜそれをやりたいのか?、転職先でできそうなことはなにか?というのを言語化して確認するようにしていました。また面接の最後には面接官から必ずなにか質問などは聞かれるので、面接の中で自分が気になった点についてフィードバックを求めるようにしていました。

その中でやりたいことについては共感できても、プログラミングやアーキテクトスキルの面で足りない点があるとフィードバックされたことがありました。いまでも自分のITエンジニアとしてのスキルは課題に感じていますが、やりたいことである「チームや組織をより良くすること」については共感される方が多く、また専門にそれを考える人材は少ないことから自分のやりたいことについては自信を持つことができました。

マツリカの採用面接時の事例

マツリカへの選考時、一次面接でCo-CEOと会話した際も同様に自分のやりたいことについて言語化しました。これがたまたまCo-CEOが抱えていた開発組織の課題とマッチし、面接時にはその話題で非常に盛り上がりました。組織が抱えている課題と自分のやりたいことがマッチしていると分かったので、ぜひここでチャレンジさせてほしいという話をしました。

またマツリカのVisionであるInitiativeやLibertyは出る杭を伸ばしてくれる非常に重要なポイントでした。面接時にそこまで明確に確認したわけではないですが、これらのVisionが大事にされていればやりたいことができる可能性は高いと思いました。実際に入社してみて出る杭を伸ばしてくれる良い環境だったので非常にやりやすく感じています。

入社当時のブログで面接の話を書きました

新天地にて

背景共有などを済ませたうえでやりたいことをやれる環境に身を置けたら、その組織が望む形でやりたいことをやれるようにしましょう。事前に背景共有などを済ませているからと言ってそれで完璧な意思疎通ができたとは限りませんし、面接官と現場の意見が食い違っている可能性もあります。現場の人間の現状認識が間違っている可能性もあるでしょう。必ず自分の目で現場を確認し、自分のやりたいことをどう現場に落とし込んでいくかを考える必要があります。

やりたいことを現場に落とし込む必要性

というのも、組織で実際にはやれないことを自分がやりたいからといって強行してもお互いが不幸になるだけです。何も考えずに実行した結果、「失敗する」で説明したようなことが起こってしまいます。そうならないように組織が望む形でやりたいことをやるのが大事です。

とはいえ組織が望む形というのは誰も応えてくれません。組織は法人のように人格として扱われますが、個人のように統一した回答を出してくれるわけではありません。この状況で組織が望む形でやりたいことをやるにはやりたいことの発信と自由参加、そしてセルフブランディングが大事だと考えています。

やりたいことの発信

やりたいことの発信は組織全体に向けて自分がやりたいことを発信することです。同時に言語化するで共有した経緯も伝えましよう。そうすることでやりたいことがあってこの組織に来ていて、それは事前に面接官などと合意形成済みであると伝えることができます。同時に、突然なんか始めた!という感情を抱かせてしまうことを防止できます。

やりたいことをやりやすくするためにも発信していく

また、もしあとでなにかあったときに勝手にやったと言われにくくする効果もあります。堂々と全体に宣言したのにその場や後で意見をしなければ、認めたと言わざるをえません。実は反対だったみたいな言説がまかり通るような組織ならそちらのほうが問題です。さらに多くの人は変化を嫌うので、突然始めるよりも始めますよーと言ってから徐々に始めるほうが障害を少なくすることができます。

なお、発信は継続的に行うことが大事です。これにより露出を増やし伝わる可能性を引き上げ、また状況が変わったときに良いかも?と思わせることができます。何か問題が起こったときほど新しいものが浸透しやすくなるので、いつ問題が起こっても良いように継続的に発信をしましょう。

自由参加

発信したあとは強制ではなく、自由参加で始めましょう。例えば良いと思って勉強会やイベントを開く際は良いものだからと原則参加にしがちですが、あなたが良いと思っていても参加者が良いと思っているかは別問題です。必ず自由参加にして参加者の自由意志に委ねましょう。そのため最初は参加者が少なく効果がないように見えたり、価値がないように見えたりしてしまうものです。

二人目を待つ

しかし、継続的な発信によって自由参加した一人目に良い感想を抱いてもらえれば、その人が新たな伝道者となってくれます。これは非常に大きな二人目となります。新しく参加したあなたが言うよりももとから組織内にいた誰かが言う方がその組織に対しては何倍も説得力があります。

さらにやりたいことが本当に組織に対して効果的であれば雪崩のように参加者が増えていきます。そのため最初は評判が無くても辛抱強く発信して自由参加で続けることが大事です。

セルフブランディング

組織内でやりたいことをやっていく中でセルフブランディングは非常に大事です。なぜならばブランディングすることで、やりたいことがやれる可能性が高まるからです。ブランディングすることであなたについて話題に上がるときに「あー〇〇の人ね」とやりたいことも同時に話題や意識に上がるため、やりたいことそのものが組織内に広がる可能性が高まります。

ブランディングの効果は組織内に波及していく

またやりたいことに関する問題や課題が発生したとき、真っ先にあなたに相談しようとかやってもらおうとなるきっかけになります。逆にブランディングができていないと、せっかく組織内でチャンスが生まれても気づけないかもしれません。さらに自分が気づかくなても誰かがあなたを推薦してくれるかもしれません。こういったメリットによってやりたいことを続けられる可能性も高まります。

自分自身の自信になる

さらに自分自身の自信にも繋がります。特に〇〇の人というのが他人からの評価で付けられるとより客観的な評価として自信になるでしょう。将来、新天地に移動するきや組織外の人と会話するときにも自身を持っていま自分がやっていることを説明できたり、実績を紹介できます。

セルフブランディングと言っても特別大変なことをやる必要はありません。何かをやったときに感想などをチームや組織に共有してもらえばよいのです。もちろんフィードバックとして受け取りたいと伝え、悪い点があればそれも合わせて書いてもらうようにしましょう。そうすることで他人からの客観的な評価が広まり自然と強力なセルフブランディングになっていきます。

催促せずに自然と感想を言いたくなるようなブランディングをする

このとき、もし感想を書いてくれなくても催促したりしてはいけません。それではブランディングとして逆効果なので、思わず感想を書きたくなるような効果を及ぼせるようにやりたいことをやって組織に貢献していきましょう。

筆者の事例

筆者がマツリカでまずやったことは組織全体に向けてやりたいことの発信することでした。マツリカでは新しく入社した人間が任意で自己紹介LTをする文化があり、筆者はその場を利用して自分のやりたいことを発信しました。このときにCo-CEOとやりたいことの共有を済んでいるという話をして、組織全体に勝手にやっているのではないということをアピールしました。

その後はSlackに自分がやりたいことに関連した情報や記事のURLを流したり、社内ドキュメントに自分の知見を書いたり、自由参加の勉強会を開くとこでやりたいことの発信していきました。さらにすでにふりかえりをしていたチームの振り返りに参加して気づきを共有することで、直接的に組織への貢献を行っていきました。

セルフブランディングに協力してもらう

このとき任意で筆者が参加したことに対するフィードバックをSlackで全体発信してもらうようにして、筆者が貢献できていれば伝道者が増えるような工夫も行っていました。この成果からか新しくふりかえりを始めたいチームのファシリテーションを依頼されたり、最初は依頼がまったくなかった自分のやりたいことに対して参加希望が来るようになりました。

まだまだ組織全体からしたら一部ですが、自分のやりたいことをやって組織に貢献したり自分のやりたいことに興味を持ってもらえているのは非常に嬉しいです。

自己紹介LTでの"やりたいこと"表明

やりたいことをやり続けるために

筆者は現在の会社ではやりたいことができています。しかし、これが永遠と続くわけではありません。やりたいことが変わることは十分にありえますし、組織側の状況が変わってしまうことは起こりえます。その中で自分のやりたいことや組織の変化には敏感であるべきです。それには客観的に自分や組織を見つめていくことが重要です。特に何かが上手くいっているときや思い通りになっているときほど、それらには気づかないものです。いわゆる「勝って兜の緒を締めよ」ですが、常に驕らずに冷静に物事を観て進んでいきたいものです。

さいごに

会社でやりたいことをやるための技術と題して、やりたいことをやるメリット、ノウハウ、事例などをお伝えしてきました。まだまだやりたいことを何の障害もなくやれる社会にはなっていないのが現状です。しかし、やりたいことができている人がいるのも事実です。

私達マツリカでは「世界を祭り化する」というミッションを掲げています。祭り化とは夢中になり充実感や達成感に満ちた状態、ということです。私は私がやりたいことを楽しみ、それを発信することで少しでも祭り化している人が増えれば良いと思っています。

祭り化している人を増やすために

そのためにこういった技術同人誌を始め様々な発信活動をしており、この合同誌のように会社も可能な限りそれを支援してくれています。そんな会社やそこで夢中になっている人々に興味があったらぜひお声がけください。特に個人的にはチームや組織に興味がある人やスクラムマスターを募集しております。

私と一緒にやりたいことをやりませんか?