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誘起符号BHTA

シノプシス

とある惑星の衛星上に機械生命体の文明があった。その星を支配する複数の企業体国家は、車輪の製造と流通に関する国際カルテルによって人々を統治していた。各国家の形態は様々だが、舞台のN国は神官からなる議会/知的労働者/肉体労働者からなり、とりわけ議会は階級の分断と維持を至上の任務としていた。

車輪設計の職に就いている主人公は、星を覆う厚いガス雲の先の世界を夢見て「車輪の無い乗り物」の設計を行う。しかしそれは禁じられた行為だった。秘密警察によって捕らえられる主人公。その時彼の意識がネットワークに流れ出し、人々の頭脳を変容させ再起動させた。帝国の解体と騒乱の時代が始まろうとしている。

テーマ

ハードとソフトが不可分なシステムは、その設計の元となった仮定と実際の社会構造の間にずれが生じた時、機能不全を起こして崩壊する。永続的なメンタルモデルは存在しない。

硬直した社会は自らが前提とする仮定を維持しようと試みるが、インフラの希少性は科学技術の発展によって常に下降し、結果革命を誘発する。主人公には自分のコードによって実現したい未来があった。逆立ちした論理はいずれ敗れる運命にある。

キャラクター

アルファ(α)

肉体労働者階級の機械生命体の総称。

主に肉体労働・単純労働に従事させられている。教育は最低限度に留められ、内容もほとんどが企業教会の教義である。死後ガス雲の上にある天使の世界に召される事が唯一の救済であると教えられている。βよりは比較的自由が認められており、スラム内でガラクタ市が発展した。現在も「メイカー」によって直に製造されている古の機械生命体。素朴で無口。

アイザック(Isaac)

主人公 β-26-2-308 の遺志を継ぐ変質したアルファ型の機械生命体たちの総称。主人公の生まれ変わりとも言える。

これまでの機械生命体が8~32進数を使うのに対して64進数で思考する。目的を持ち、自ら考え行動し、ネットワークを介して互いに意思疎通し、アップデートし続ける。目のホログラムがチャームポイント。

ベータ(β)

知的労働者階級の機械生命体の総称。主人公の種族。

単純な演算装置として政府が定める労働のために酷使されている。個体に創造性があったとしてそれを発揮する場は存在しない。性別は無いが生殖機能は存在する。しかし社会が均質な労働力を求めて人工的な淘汰を行っているため、大幅な形質の変化は無い。

主人公、β-26-2-308

  • 内面:かつての親友(アルファ型。深い愛情を持っていた)が過酷な労働で死に、以来その魂の行先に興味を持つようになった。古の書物にはかつて天から舞い降りたという天使(中世にこの星を訪れた人類に関する伝説)が描かれている。ガス雲の先にはどのような世界があるのだろうか。

  • 外面:一見その階級に甘んじているように見えるが、実際には自らの状況をよしとしていない。割り当てられた可処分時間に共同娯楽を消費せず(そのため秘密警察に目をつけられる)、社則を侵してアルファの解剖図を盗み見たり、ガス雲探査のために「車輪の無い乗り物」の設計を行う。

スターツ(Staats)

秘密警察。しかしいつからか公になっている。

ベータの中で特に体制に忠実な者が選抜され構成されている。権限は広く、神官に対しても捜査・逮捕権限を持つ強力な組織。メイカーや国家と自分自身を同一視しており、傲慢で自信に満ちあふれ、しばしば大規模な粛清キャンペーンを行う。彼らに捕らえられた者は額に赤く「X」を印字されたのち私刑を加えられる。

プリースト(Priest)

支配階級の神官の総称。

「メイカー」と呼ばれる演算装置を信仰している。しかしメイカーが発する言語体系は太古に途絶えたため、神託とその解釈会議によって国家を支配している。同時に民の流動性を抑えて国体を維持すべく、車輪・移動機械の製造と流通を制限する厳しい法を制定した。生殖能力と性別、そして寿命がある。冷徹で荘厳な古典様式の建築物と装飾を好む。

メイカー(Maker)

古から伝わるメインフレーム。実態は太古のプリーストが並列化・ミイラ化したもの。意思を持たない。

はるか昔、様々な機械生命体を設計していたとされる。ほとんどの企業体国家が保有しており、本作の国家ではアルファ型の設計のみ行っている。太古の言語を出力するが、現在の言語の解釈も可能で、肉体製造機と直に連結しているためアルファの製造は問題なく遂行できる。

ペンギン(Penguin):penguin:

古に伝わる空想上の動物で、かつて天使と共に地上に降り立ったとされる。天使が使役する乗り物だという説もある。タンパク質のゼリーからなる。

舞台

企業体国家はそれぞれ城壁を築き星中に都市国家が点在している。中世の末期に起こった新興宗教主導の民主化革命ののち、数百サイクルの時を経て現在の社会に至る。

地表はあらゆる種類の機械生命体が覆う。ほとんどの生物は簡単な無機細胞で構成されており繁殖が可能である。空にはうっすらと霧のようなガス雲がはるか彼方までかかり、地表からその先をうかがい知ることはできない。

キャプション

  • CoRRB_ConceptArt_Set_CityState_D_171003 : 空に惑星が浮かぶ(舞台はその衛星)。大気は常に白緑色がかっており、並列議会が遠くにうっすらと見える。堀のように作られた労働者区画の上にはグリッド状のハイウェイが整備されているが、車はほどんど見当たらない。

  • CoRRB_ConceptArt_Set_CityState_Buildings_171005 : ICのように整然と繰り返されるビル群。前述のように地面の岩盤を掘って建設されている。掲げられているのは三接点コネクタ党の旗。

  • CoRRB_ConceptArt_Set_Floodgate_171007 : 水門。緊急(戦争や反乱)時には解放できるようになっている。労働者区画は海抜以下なので運河からメタンの海が流れ込む。

  • CoRRB_ConceptArt_Set_ParallelAssembly_171006 : 並列議会付近。海抜より高い敷地。

  • CoRRB_ConceptArt_Set_Station_171009 : ビル低層部分の巨大な空間には駅のホームがある。ビルの採光部から明かりが差し込んでいる。

  • CoRRB_ConceptArt_Set_OfficeWindow_171010 : オフィス。ビルの上層は知的労働者のエリアになっている。窓から地上の線路が見える。

  • CoRRB_ConceptArt_Set_OfficeEquipment_171012 : 車輪設計局。製図台が整然と並ぶ。

  • CoRRB_ConceptArt_Set_Billet_171008 : ビルの最下層。肉体労働者の居住区。アパートのドアを出るとすぐに駅のホームがある。

  • BHTA_ConceptArt_Set_SuburbRuin_171030 : 郊外の遺跡。機械生命体の出自とも関係があるのだろうか。

  • CoRRB_ConceptArt_Prop_Creatures_171018 / CoRRB_ConceptArt_Prop_Plants_171104 : 動植物たち。無機〜有機まで幅がある。

ストーリー(仮A

エンディング

とある夜、β-26-2-308 はついにスターツによって拘束される。彼はその場で尋問端子(メイカーともつながっている)を接続され、額に「X」を刻印(顔面の破壊も伴う)されてしまう。その時彼の脳内ネットワークがメイカーによって分解・再構成され、アルファシリーズの頭脳を書き換え始めた。次々と再起動する特別なアルファシリーズ。彼らの誕生はβ-26-2-308にとっては愛の成就を意味し、同時に国家にとっては独裁統治時代の終焉を暗示するのであった。

オープニング

雲・ペンギン・天使が描かれた薄い冊子、それを読むアルファシリーズたち。その様子をビルの窓から眺めている者がいる。β-26-2-308である。彼の背後窓の内側では、大量のベータシリーズが共同バスに接続され知的労働に励んでいる。これらの光景は果てしなくつづき、やがて巨大な建造物が整然と立ち並ぶ計画都市が明らかになる。ひと際荘厳な建造物にはメイカーとそれを司る神官たちの議会があり、街は「車輪」に関するプロパガンダであふれている。そしてβ-26-2-308はこの国策の車輪設計に従事していた。


  • CodeName: BHTA
  • Author: kmwtr
  • Creation Date: 2016.11.26 (CoR)
  • Update: 2018.02.01 (BHTA v.1.0.0)
  • License: CC BY 4.0